こんこん

斉藤康次(こんす)です。良い感じの水彩の人物画を描くためのブログ。

朱華さん個展

pixivを始めて間もない頃に知った人で、水彩のイラストといえばまず朱華さんが思いついていたのだけど、個展に行ったのは初めてだった。初個展なのかもしれない。

数年前から写実系の個展や展覧会に行くことが多く、イラストは足が遠のいていた。最近のイラストレーターに詳しいわけでもなく、朱華さんが思いつくというのは更新されていないからというのもある。正直なところ、朱華さんについても普段から追っていたわけではなく、今回Twitterに個展のお知らせが流れるのを見て、久々に思い出したような形だった。
8時までやっているということで、絵画教室の帰りにちょうどいいし…という理由で、気軽に観に行ったのだけど…

凄い良かった。

凄い良かった。

少ない語彙で感動を表現しなければいけないので大変だけど、まず水貼りの仕方からおしゃれだった。2017年の作品からだと思うけれど、パネルに水貼りする際、長辺の紙を短辺の内に折り畳み、そのまま短辺の紙をパネルの裏側に回して留めていた。些細な装飾だけど、そんなところからも支持体に対してのこだわりを感じる。SMサイズの「境界」シリーズはパネルの側面まで絵が描かれていて、作品の雰囲気作りに貢献していた。

 

朱華さんの絵は情報量がとても多い。今回の個展「白い夜」では白を基調としながらも、服やベールには細かい装飾が入り、その装飾の内側に少女や草花が隠れ、空間には蝋燭や羽虫が配置されている。全体としては白いのだけど、描き込みはとても細かい。とても細かいのだけど自然すぎてあまり目立たない。けれど観ていくと少しずつ発見があるというような。

「影の形」は影があまりに細かく自然で、なおかついくつも影の層が重なっていて、アナログとは思えない、パソコンでレイヤー分けしたような絵になっていた。自分が以前から好きな作品は「雨」なのだけど、この人の作品は本当に筆の迷いや描き足しからのムラがない。普通水彩はちょっとした描き足しや修正、水分の含みの調整の失敗から一筆で描けずムラや濃淡が出来てしまうものだけど、この人の作品は一筆ごとに迷いがなく、失敗がない。ディテールを描く時の自分の中での描き方がはっきりしていて、なおかつ水分量の調節が上手なのだろうと思う。機械のような正確さで描かれている。

そうしたことに驚きながら順番に小品を観ていき、中央にあるP50の「夢ばかり見ている」を観たとき、本当に観に来てよかったと思えた。
バックランが技法に見えなかった。
なんだか馬鹿みたいな言い方だが、「バックランという技法で絵を描いている」のではなく、「この世界に入ればこう見えるんだろう」と思えた。というかもっとあほみたいな話、少女のオーラに見えた(バックランはこういうもの)。小品を描くのとP50サイズの作品を描くのでは色々と勝手が変わるし、朱華さん自身もあまり描かれてはいないのではと思うが、安定感が全く変わらない。自分がF50を描いたときはとてつもなく酷いものだったが、こういうときに地力が出るんだろうと思った。構図はシンプルで力強く、描いていない空間も寂しくない。そして何よりバックラン。練習したくなる綺麗さだった。

そのまままた小品を観ていき、最後の作品「白い夜」までどれもじっくり観させてもらった。そのあとポートフォリオをじっくりと観て、一時間近く居座っていたと思う。
写真も斜めからなら大丈夫ということで、何枚か撮ったのだけど、やはり生の原画の良さには敵わない。白が基調とされている分なおさらなのだが、これが今回の個展からしばらく観れなくなると思うと、出来たらHPやpixivなりに今回の作品を載せてもらえればとも思う。画集も自分が行った時にはもう売り切れていて残念な限り。
正直自分の作品の参考に、というよりは、ただ綺麗なものをずっと観ていたい気分だった。
次の個展がまたあるか分からないけれど、もしあるなら是非行きたいと思う。
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