こんこん

斉藤康次(こんす)です。良い感じの水彩の人物画を描くためのブログ。

圕の大魔術師(図書館の大魔術師)3巻がとても面白い

圕の大魔術師3巻を買った。



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今回は筆記試験を終えたシオが、三人一組で新たな課題に取り組む話。
正直、1巻から好きで買ってはいたけれど、それは「久々に作画に魂売ってる人がいるな」という思いで買っていて、ここまで描きこむ人を応援したいという思いもあった。
要するにストーリーはそこまでかなあという印象だった。
やたら読むの時間かかるし、キャラは嫌いではないけれどまあ王道で予想の範囲内だし、原作の小説があるからその情報量を漫画で描くとそりゃあ読むのも描くのも大変だよねぇ…、と思っていた時期が僕にもありました。一昨日の夜まで。

全部覆された。
キャラ、めっちゃ良かった。原作も勘違いしてた。あ、ただ読むのは凄い時間かかった。


以下ネタバレ含み(色々整理してたらかなりがっつり)の感想。

世界観


読んでない方もいるかと思うのでざっくりとした世界観から。
95年前、大陸に「ニガヨモギの使者」という厄災が現れ、大陸を破壊しはじめた。
それを倒すため7人の大魔術師が奮闘し、なんとか石棺に封じ込めることに成功したが、その厄災は霧状の災害、「灰白色の死」を大陸に残した。
住む土地が限られた大陸では大規模な異種族紛争が起こる。
その中で起こったのが指導者が「黒の本」という書物に影響された、民族の大量虐殺だった。
これを平定した大魔術師は、2度とこういったことが起こらないよう、大魔術師7人のそれぞれの民族の自治区を作り、その中の1人は全ての書を守る(管理する)ため、自治区が交わるところに圕(図書館)をつくった。
この人物を「圕の大魔術師」と呼ぶ。

こういった経緯から圕はどの自治区にも属さない独立した機関となり、圕法をつくり、色々な書(魔術書も含まれる)を集めて管理したり、各地に圕を作って識字率をあげたり、本が民族の思想統制のために使われないよう、印刷の権限を握ったりと、色々なことをしてる。
それらを担当するのは司書(カフナ)と呼ばれ、カフナは女性の憧れの職業となっている。

ストーリー


主人公のシオは幼い頃にカフナに助けられ、男ながらカフナを目指す。そして13歳になってカフナになるための試験を受けに、圕のあるアフツァックという都市に旅立つ。
そして第一次試験の筆記試験を受けたところまでが2巻。
3巻はその後の面接、第三次試験と続いていく。

キャラ


この物語のキャラは、本当に王道な印象。主人公のシオの素直さはもちろん、シオがカフナを目指すきっかけになった、カッコつけたがるセドナも、アフツァックに向かう道中で出会う同じカフナを目指すミホナも、見栄っ張りで天然という、王道だし、よくいるキャラだなあと思っていた。

けれど、3巻を読んで少し印象が変わった。
今回第三次試験では三人一組で試験に挑むのだけど、その中の1人、ナチカというキャラが、めちゃくちゃムカつく。
リアルにそのままいるレベル。というかいた。
何かと決めつけ、自分の判断にやたら自信があり、他人を当然のように見下す人。
実際に優秀なのだけど、無意味に人にマウントとり、しかもそこそこ間違えるのでやたら粗が目立つタイプ。
そのまま出てきた。


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これって王道なのだけど、漫画のお約束のキャラとは少し違う。
今までのキャラよりもかなり存在感が強くて(単に自分の経験からというのもあるけれど)、とても感情移入して読めた。
まあ当然のようにこのキャラがデレるまでがワンセットなのだけど、そこまでの過程も良かった。
シオが自分に自信を失くすところ、もう1人のオウガのバランスのとりかた、ひとつひとつがとても共感の出来るものだった。
まあこう書いてるとただ自分がムカついてたから感情移入してただけな感じになっているけれど、このあと1巻2巻を読み返して、この作者は漫画のお約束としてのキャラを描こうとしているのではなく、現実に根ざしたキャラを描こうとしているのかな、という気がした。
もちろんそれが正しいというわけではないけれど、自分はそういう漫画も好きなので、一気に自分のなかで株が爆上がりした。
あとそんな風に思って電車のなかで2巻読み返したら、そこそこ泣いてしまった。

原作


この漫画の原作は「風のカフナ」、著「ソフィ=シュイム」、訳「濱田泰人」となっている。
最初、「原作の小説を漫画にするからこの情報量なんだなあ」と思っていたのだけど、どうやらこの原作も著者も訳者も存在しないらしい。
つまり作中作の可能性が高く、こういうギミックは大好きなのでまたさらにこの漫画が好きになった。

風のマナを使うカフナ、というのは今のところ、シオに影響を与えたセドナしかいない。
単純に考えるならセドナを主人公にした小説「風のカフナ」を誰かが描いて、そのなかで活躍したシオという人物にフォーカスを当てた漫画が「圕の大魔術師」、ということになるのかもしれない。
セドナもシオも、圕の大魔術師になる可能性は非常に高い。
ひょっとしたらセドナとシオが続いて圕の大魔術師になるということもあるかもしれない。

ただソフィ=シュイムというキャラクターが作中に登場しても違和感はないが、訳者の濱田泰人はどうも違和感がある。日本名の民族が出てきてもおかしくはないけれど、字も各種民族で違うのに、そこで突然日本語に訳すというのも唐突な感じだ。

まあ、最終回でこの本がどこかに届くように、という感じに終わって、それで現実の濱田さんが受け取ったというならなんとなくロマンチックな感じはするけれど、まだ情報が少なくてなんとも言えない。

お姉ちゃん


エロすぎる。

作画


もう安定していて素晴らしい。本当は刺繍や装飾の素晴らしさについて書いたほうが良いような気がするけれど、今回あまりにもお姉ちゃんがエロくて、あまりにも見送るサキヤが可愛くて、あまりにも旅立つシオの泣き顔が綺麗で、もうお腹いっぱいだった。
本当にこの作者はこの画面作りにどれだけ準備をして、どれだけ時間を費やしてるんだろうと思う。
途中で体調が悪くならないよう祈るばかりだ。


国字(日本で作られた文字)らしい。
この一文字でとしょかん、または、しょ。
国字といっても作ったのは中華民国支那人らしい。
なんだか混血のシオとリンクさせてしまう。関係ないけれど。

感想まとめ


ブログに書くために本を読み直していたらえらい時間と文字数になってしまった。
これから物語は動いていくと思うので、今回で世界観を把握しておきたかった。
どれほどのボリューム、展開になるのか想像つかないけれど、ファンタジーの傑作となっても全くおかしくないし、これからのストーリーを楽しみにしたいと思う。